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行きゅんにゃ加那節

あやまる岬

行きゅんにゃ加那について

奄美のシマ唄の中でも、知名度、唄われかたなどを見ると、奄美のシマ唄の代表曲と呼んでも良い唄が、今回紹介する「行きゅんにゃ加那節」でしょう。

「行きゅんにゃ加那節」「行きゅんにゃ加那」「行きゅんな加那」など、幾つかの呼び方がありますが、奄美へ行けば、どの呼び方でも通じます。

とらや

シマで食料や日用品を売りながら走る移動販売車のから行きゅんにゃ加那が聞こえてきたり、最近では、学校の授業の中でも課題曲として取り上げられていると言います。

余談になりますが、今では奄美の保育園でもシマ唄の時間などがある所もあるそうで、そんな小さな頃からシマ唄に触れることが出来るなんて、羨ましい話だと思います。

また、行きゅんにゃ加那節は奄美三線シマ唄の入門曲として、まず最初に、以前に紹介した「らんかん橋節」と共に取り組むことが多い曲です。

現在唄われる行きゅんにゃ加那は、父や母、友人や恋人、主に人との別れを唄った内容ですが、唄遊びが盛んだった頃は、色んな歌詞をこのメロディに乗せて唄ったと聞きます。

行きゅんにゃ加那のルーツ

動画は、瀬戸内町古仁屋出身、奄美のシマ唄好きならご存知の若手唄者「里朋樹・歩寿(さとともき・ありす)」の行きゅんにゃ加那です。

この唄もまた、他のシマ唄と同じく、地域や歌い手によって、唄も三線も、色んな節回しがあるので、聴き比べて見るのも、シマ唄の一つの楽しみ方では無いかと思います。

作詞作曲者は不明ですが、奄美で唄われる行きゅんにゃ加那の元をたどれば、本土の数え歌の流れを組んでいるのであろう、というのが大方の意見です。そして、内地からやってきた、奄美の行きゅんにゃ加那は、更に南へと姿を変えながら伝わっています。

沖縄には芝居やエイサーに登場する「トゥタンカーニ」という人気の唄があります。そのルーツを遡れば、奄美大島の行きゅんにゃ加那へと行き着くことが知られています。

似たメロディで唄われる、喜界島の「数え唄」、徳之島へ行くと「ナンドー節」「取ったん金ぐわぁ」として唄われ、更に沖縄へと伝播しているという、奄美シマ唄の中では南西諸島全域で唄われる、有名な唄だと思うと、ちょっと誇らしい気持ちです。

徳之島の「取ったん金ぐわぁ」の曲名は沖縄の「トゥタンカーニ」と酷似していますね。

奄美本島でも、似たメロディで「大島紬数え歌」や「いゅんめやんめ節」などが唄われますが、昭和8年発行の「奄美大島民謡大観」には「いゅんめやんめ節」の歌詞として「行きゅんにゃ加那~」が載っていて、この歌詞がシマの各地で歌われるようになった際に、曲名まで変わってしまった唄だということ、行きゅんにゃ加那節はいゅんめやんめ節だったことが伺えます。

三線を手に取って、弾いてみると判りますが、シンプルな唄とは言え表現の難しい、初級者から上級者までが楽しむことの出来るシマ唄なのは間違いありません。

島を旅立つ際の送り唄としても唄われます。

チベットの鳥葬歌

チベットの鳥葬歌

チベットの地では、鳥に亡骸を食べさせる、私達日本人から見れば、衝撃的な葬儀が行われているのですが、その際に流れる唄が、行きゅんにゃ加那節に酷似したメロディーだと言います。

神の使者である鳥に食べてもらってこそ、魂は天に帰ると信じられています。

天に送る唄、死者との別れの唄、奄美大島とチベットのつながりがあるのかというのは定かではありませんが、奄美とチベットが繋がっていると思うと、唄が持つ力にワクワク感が止まりません。

行きゅんにゃ加那節の歌詞

 行きゅんにゃ加那 吾きゃこと 忘れて 行きゅんにゃ加那
 打っ発っちゃ 打っ発ちゃが 行き苦しゃ そら行き苦しや

 行きゅんにゃ加那 吾きゃ事忘れて 行きゅんにゃ加那
 汝きゃ事 思めばや 行き苦しや そら行き苦しや

 阿母と慈父 物憂や考えんしょんな 阿母と慈父
 米取てぃ 豆取てぃ 召しょらしゅんど そら召しょらしゅんど

 目ぬ覚めて夜や夜ながと 目ぬ覚めて
 汝きゃこと 思めばや 眠ぶららぬ そら眠ぶららぬ

 鳴きゅん鳥ぐわ 夜明けぬ ちぢなんて鳴きゅん鳥ぐわ
 うりや吾きゃ加那 思出泣き そら思出泣き

 鳴きゅん鳥ぐわ 立神沖なんて 鳴きゅん鳥ぐわ
 吾きゃ加那 やくめが 生き魂 そら生き魂

 また拝も 来年ぬ 今(なま)ごろ また拝も
 節(してぃ)や 水車(みでぃぐるま) 巡りあお そら巡りあお

 取ったん金ぐゎ 店屋の番頭しゅて 取ったん金ぐわ
 屋仁川(やんご)ぬ浮世に 打ち惚れて スラ打ち惚れて

 待ちゅらば来う 風呂屋の角なんて 待ちゅらば来う
 風呂入り名づけて 会いに来よ そら会いに来よ

 忘りんしょんなよ 離りて暮らちむ 忘りんしょななんよ
 島唄 島口 島踊り そら忘りんしょんなよ

 遊びんしょろや 汝きゃ吾きゃ 寄合(ゆりゃ)とて 遊びんしょろや
 三味線な出(いじ)たか 島唄ぐわ そら出じゃしんしょれ

 遊びん しょろや 時々寄合(ゆりゃ)とて 遊びんしょろや
 島唄あびたり話しんちゃしんしょちゃり そら遊びんしょろや

 懐かしゃや 三味線ぬ声ぐわぬ 懐かしゃや
 汝きゃ島 吾きゃ島 思出(うめじゃ)しゅんど そら懐かしゃや

 懐かしゃや 稀々 拝みば懐かしゃや
 元気し参(うも)りゅんにゃ 気張て参りゅんや そら懐かしゃや

 懐かしゃや 道弾き三味線ぬ 懐かしゃや
 妻(とぅじ) 居らん青年(ねぃせ)達ぬ 三味線だろ すら三味線だろ

 遊びばよ 汝きゃ吾きゃ 寄合(ゆりゃ)とて 遊びばよ
 遊ばぬ 友人達(どぅしんきゃ)や嫉妬(わぁなり)しゅり すら嫉妬しゅり

まとめ

諸屯 でいご丸

CDの音源は沢山有ります。

奄美の歌い手として有名な元ちとせさんは2枚のアルバム「故郷・美ら・思い(しま・きょら・うむい)」「「元唄(はじめうた)~元ちとせ 奄美シマ唄集~」で行きゅんにゃ加那を唄っていますし、NHKの西郷どんのテーマ曲を唄った里アンナさんも「愛 Kana~島唄BEST」「紡唄」など数枚のアルバムで行きゅんにゃ加那を唄っています。

紹介したお二人以外にも、沢山の唄者がこの曲をレコーディングしているので、音源は沢山見つけることが出来るはず。

スタンダードな三線と唄だけの行きゅんにゃ加那以外にも、ギターやドラムが加わってアレンジされた行きゅんにゃ加那も味わい深いものです。

シマ唄を代表する唄として、これからも歌い継がれていくことでしょう。

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